「わからない」は免罪符ではない。DXを阻む「思考停止」という大罪と、組織が生き残るための冷徹な生存戦略

「スマホの使い方がわからない」「新しいシステムは難しくて覚えられない」

職場でこんな言葉を耳にして、ため息をついたことはありませんか? 急速に進むDX(デジタルトランスフォーメーション)と高齢化社会の波。この二つが交差する現場で今、最も深刻な問題が起きています。それは、「わからない」を言い訳に進化を拒否する層が、組織全体の足を引っ張っているという現実です。

今回は、なぜ「わからない」で済ませることが組織にとって「害」であり「罪」なのか。そして、私たちはこの問題にどう決着をつけるべきなのかを、ビジネスの名著や賢人たちの視点を借りて考察します。

1. 「チーズはどこへ消えた?」に見る、変化を拒む恐怖

世界的ベストセラー『チーズはどこへ消えた?』の物語は、今の日本の縮図です。 ある日突然、いつもの場所からチーズ(利益や仕事のやり方)が消えてしまった。 この時、すぐに新しいチーズを探しに出かけたネズミたちに対し、小人たちは「なんでチーズがなくなったんだ!」「俺たちにはチーズを食べる権利がある!」と叫び続け、その場から動こうとしませんでした。

DX化に抵抗する人々は、まさにこの小人たちと同じです。「今までのやり方(消えたチーズ)」に固執し、変化することへの恐怖から、「わからない」という言葉で壁を作って閉じこもっているのです。 現状維持は「安定」ではなく「緩やかな死」です。変化を恐れずすぐに行動した者だけが、新しいチーズ(利益)にありつける。これは残酷ですが、変えようのない事実です。

2. 「わからない」と言い続けるコストと罪

「高齢者だから仕方がない」「デジタルに疎いから」といって、組織が彼らに過度に寄り添うことは、果たして優しさでしょうか? ひろゆき氏は、「成長する気のない人間に時間をかけるのは無駄」と断言しています。教育の理念として「全員を育てる」のは美徳ですが、ビジネスの現場でそれをやれば、教える側の優秀な人材のリソースが奪われ、組織全体の生産性が低下します。

また、『リーダーの仮面』の著者である安藤広大氏は、組織運営において「人間的な魅力」や「個人の感情」を排除し、「結果」と「ルール」で管理すべきだと説きます。 「わからない」という個人の感情や能力不足を、組織のシステム側が「優しさ」でカバーしようとすると、以下の弊害が生まれます。

シャドーワークの発生: 誰かが彼らの代わりにアナログ作業を肩代わりする。

優秀な若手の流出: 非効率な環境に絶望した「話の通じる」若手が辞めていく。

意思決定の遅延: 全員の合意(わからない人への説得)を待つことで、チャンスを逃す。

つまり、「わからない」を放置することは、組織の未来を食いつぶす「罪」なのです。

3. 「老害」の本質とは何か?

岡田斗司夫氏は、「老害」という言葉を安易に使うべきではないとしつつも、世代を「地層」のようなものだと表現しています。古い地層(価値観)の上に新しい地層が積み重なっていくのが健全な状態ですが、問題は「新しい地層を拒絶し、混ぜ合わせようとしないこと」です。

年齢そのものが問題なのではありません。自分の過去の経験(古い地層)だけが正しいと思い込み、新しいテクノロジーや価値観(新しい地層)を理解しようとする「知的好奇心」と「柔軟性」を失った状態こそが、組織における「害」となるのです。 本当に頭のいい人は、自分の思考をメタ認知(客観視)し、間違っていれば信念を柔軟に更新できます。逆に、「自分はもう歳だから」と思考を停止させた瞬間、その人はビジネスパーソンとしての寿命を迎えるのです。

4. 解決策:冷徹な「仕組み化」と「切り分け」

では、中小企業はこの問題にどう立ち向かうべきか。精神論ではなく、構造的な解決策が必要です。

① 「22%」に集中投資する(パレートの法則)

『ユダヤの商法』にある「78:22の法則」を応用しましょう。組織の中で変化に対応できる上位22%の人材にリソースを集中させ、彼らを中心にDXを完遂させます。 全員にわからせようとしてはいけません。システムが完成し、成果が出れば、残りの層も従わざるを得なくなります。

② 「やらない」という選択肢を奪う(退路を断つ)

「わからない」が通用するのは、アナログな逃げ道が残されているからです。 『リーダーの仮面』が説くように、リーダーは「お願い」ではなく「命令」をする必要があります。 「このツールを使わないと経費精算は受け付けない」「このシステムを使えないと評価しない」という明確なルールを設定し、逃げ道を塞ぐことで、初めて人は必死に覚えようとします。

③ どうしても無理な人は「無害化」する

それでも適応できない、あるいは学習を拒否する人に対しては、ひろゆき氏が提案するように「失敗しても困らない仕事(単純作業など)」に配置転換するか、冷徹に評価を下して退出を促すしかありません。 組織は学校ではなく、利益を追求する場です。「わからない」という甘えが許される場所ではないことを、構造として示す必要があります。

結論:進化か、淘汰か

テクノロジーの進化は待ってくれません。「わからない」を言い訳にして足を止めることは、現代社会において「生き残る気がない」と宣言しているのと同じです。

組織としては、変化を拒む人間に寄り添う「無駄な優しさ」を捨て、変化しようとする人間にリソースを注ぐ「合理的な冷徹さ」を持つこと。 そして個人としては、幾つになっても「新しいチーズ」を探し続ける好奇心を持ち続けること。

これこそが、DX時代を生き抜くための唯一の生存戦略なのです。

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参考文献:『チーズはどこへ消えた?』、『リーダーの仮面』、『ユダヤの商法』、ひろゆき氏・岡田斗司夫氏の発言より

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