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一言じゃ分からない!雑誌編集って実際何するの?

あくまで体験談のお話なので、すべての雑誌編集がそうだとは言えないですが仕事内容としては大差がないと思うので、その点だけご了承ください。

皆さんもコンビニで見たことがあろう女性月刊誌の編集のお話です。

雑誌編集とは

そのまま雑誌を編集する人。ですね。その編集というと、皆さんは何を思い浮かべるんでしょうか。働きマンとか?ファースト・クラス?

モデルがいて最先端のファッションに、常にトレンドを追い続ける煌びやかな世界なのか、何日も帰れなくてヨレヨレになって働く人なのか。

でも雑誌によって本当に違うんですよ。ある程度大人向けのCancamとかOggiとかそういう雑誌って1ページに写真1枚、テキスト1つ。とかよくありません?

反対にギャル誌。今は少なくなってしまいましたがeggやRanzukiや小悪魔agehaとかって写真の量も文字量もハンパなくなかったですか?

その差だけで仕事量ってかなり違うんですよね。モデルの質も違いますよね。ちゃんと事務所所属してモデル意識のある人は遅刻もしないし、何をすべきか理解してるけど、ギャルやキャバ嬢は一般の子たちですから遅刻上等、ドタキャン上等。学校に遊びに来てるような感覚の子が多いので言うことも聞かない。

遅刻やドタキャンがあれば別の子にするのか、別日に撮るのか、どんどん遅れていくものです。そうです、筆者はギャル誌の編集でした。

そんなわけで実際の仕事内容をざっくりまとめるとこうなります。

  • 企画案出し
  • 企画会議→各担当に企画割り振り
  • 各担当は企画内容を詰めてラフを描く
  • それと共に撮影イメージ案とページデザイン案も考える
  • 編集長と打ち合わせをし詰める
  • 撮影日を決め、スタジオ・モデル・スタッフのスケジュールを抑える
  • 各スタッフとの撮影内容について打ち合わせ
  • 撮影の香盤表やアンケートを作り、撮影に使う小道具・大道具の準備や買い出し
  • 撮影日当日は撮影時の飲食の買い出しをし、一番にスタジオ入り
  • 編集は司令塔のようなものなので、これはこうしたい。これでOK。などすべて指示を出して動かす。
  • 撮影が終わったら片付け
  • 撮影したデータをもらったら写真をセレクトし、カメラマンにレタッチを依頼
  • デザイナーに素材を渡し打ち合わせ
  • デザインが上がってくるまでに原稿を書く
  • レタッチした写真、上がったデザイン、原稿を合わせて印刷所に入稿
  • 雑誌と同じ紙に印刷し、文字を流し込んだ本番に近いもの=色校 が印刷所から出てくるので最終確認。赤字入れて戻し。
  • 印刷所にこれでお願い!=校了 して終わり

ざっとこんな感じ、どうでしょうか。

で、普通の場合は企画内容によりますが同時に2〜3企画持ってるので同時進行してます。

さらに月刊誌の場合は校了してる頃には次号の準備とかしてるので、基本的に余裕のある時期は特にありません。

さらにさらに、これらに加えてモデルのスカウトもしてました。ノルマとして月に3人、専属モデルクラスを提出。

ラフって何?

通称ラフとは。

企画をもらって、雑誌と同等のサイズの紙に絵コンテを書くわけです。

大体のページのイメージ。企画の内容を形にするわけです。ここにタイトルがあってサブタイトルがついて、リードがあって見出しとキャプションがあって。ここにこういうカットがあって、こういう内容を書く。っていう。

これをベースにカメラマンやデザイナーやライターたちに企画を把握してもらうわけです。

撮影イメージとデザインイメージ

撮影イメージは、どういうライティング(光の具合)で、どういう色合いで、どこで、どういう背景で、どういう構図・画角でそのカットを撮りたいのか。

それを人に伝えるためのイメージですね。中々思い通りのものを見つけるって難しいので、ライティングはこれで、構図はこれで、場所はここで、みたいにバラバラに説明することも多々あり。

デザインイメージは実際にデザイナーにデザインをしてもらうためのコンセプトみたいなもの。デザイナーだって勝手にできないし、こちらの世界観を伝えてあげないといけない。ゴシックなのかアメリカンなのかなんなのか・・・。こういうモチーフを入れて欲しい。メインカットは断ち落としで使って欲しい。フォントはこういう系にして欲しい。ピンクの色味はこれくらい。とかとか。

言葉で伝えにくいことはイメージと合わせて説明していくのです。

原稿

原稿は自分で書くか、ライターに頼むか、アンカーに頼むか。

ライターは企画に同行して取材もしてくれて原稿を書いてくれる人。アンカーは取材した素材を渡して原稿だけ書いてくれる人。

ライターやアンカーに頼んでも結局は自分で全部チェックして直さないといけないです。

特にキャッチコピー(あおり)は慣れたらあれだけどセンスが必要な場合も。いかに人を惹きつけるか、共感できるか。っていう場所ですからね。キャッチコピーだけでコピーライターみたいに職業になっちゃうところ。

入稿と校了

入稿は、そのページで使うレタッチした解像度の高い印刷用の本画像と上がってきたデザイン、書き上がった原稿を、これをここに入れてねって指示をして印刷所に渡すこと。

校了は、入稿したものを元に印刷所が実際の雑誌と同じ紙に出力して出してきた色校。その本番一歩手前の色校の最終チェックをして、編集長のチェックも終えて印刷所に、これでお願いします。と戻すこと。

そのすべてを終えて責了。印刷して店舗に配送されて店頭に出る。

お給料は・・・?

これも出版社によるし、雑誌によるし一概には言えないところなので経験談で話します。

編集部に入った最初の頃は、編集部のバイトという形式で毎日分の領収書を書かされていました。そうです、人という扱いではありません。経費で落とされます。その額、なんと日給4000円。鬼畜の所業です。

筆者の場合はそこからスタートして1年働くと日給が1,000円上がるという謎システムで日給8,000円まで昇り詰め、途中で会社雇いのバイトになりました。月給25万弱ってとこですね。

その辺りで社員か契約社員になる?って言われて、、、社員はフロアに人が80人くらいいたのに3人くらいしかいなかったので契約社員になりましたとさ。それで月給に変わり30万前後?

さらに雑誌の売れ行きが良かった場合は大入りが入ります。報奨金と言いますか。よっぽど売れないとですけどねー。

どう感じましたか?

ここまで読んでいただいてありがとうございます。どう感じましたか?

そんな安月給でクソハードそうなんですけど。って思いましたか?

まぁ日給4,000円で朝から働いて、帰らせてもらえなくて泊まりとかだと時給換算300円以下の時もありましたし、昼ご飯・夜ご飯食べて深夜にタクシー乗って帰宅したら何のために働いてたのか意味わからないですからね。馬鹿ですよね。

でも編集になった時、よくしていただいた編集長にこう言われました。

「お金が欲しいなら違う仕事をした方がいい。でも頑張ればあとで戻ってくる。」

そんなこんなで約8年近く、雑誌の編集という仕事をしていました。

やりがいと得られたことは?

世の中の人と住んでいる場所が変わってしまった気がします。

土日祝日、ゴールデンウィーク、お盆、正月なんてものは編集に存在しません。昼とか夜もあまり関係がありません。プライベートはほぼなくなります。

半年に1日休みがあったのかどうか。14日くらい泊まり続けてる。家に帰るのは風呂に入って着替えるため。いいことがないように思えますよね。

確かに。2〜3日先の予定も見えないから友達に誘われても答えられない。感覚もずれていく。友達をたくさん無くした気がします。

続けた理由はただ一つ。「やりがい」じゃないですかね。

自分の作った企画、ページが世の中に出て参考にしてくれる人がいる。人気企画1位になればやっぱり嬉しいし、たまたま街で自分のページでやっていた着こなしやメイクをしてたら、ちょっと誇らしくなりませんか。

流行を作れること。歴史を作れること。一つのカルチャーを生み出せること。

自分のライフを削って、モデルを輝かせて、雑誌にすべてを注ぎ込んで、伝わらないこともあるけど、それが伝わった時の達成感。

自分の頭の中に描いたイメージをアウトプットして形にできた時の達成感。

それって誰にもできることじゃないし、音楽と一緒でメッセージを伝えることができるツールだったと思うんですよね。

自分からあまり自慢はしないですが、あの雑誌を一から立ち上げて作っていた。っていう自負。自分の中の誇りはずっと残ってます。それは一つの時代を築いたし、誰かの思い出になって、あとまで残っていくと思うから。

編集を辞めても活きるスキル

編集ってゼロからイチを生み出す仕事でもあるので、商品作りでも似てるところがあるかなと思ってます。

企画を出す。撮影をまわす。キャッチコピーや文章を考える。ユーザーの心理を読み解く。

これって企画を出して、コンセプト考えてブランディングしてキャッチコピー考えて撮影もして、マーケティングも感覚でわかっちゃうっていう優れもの。

メーカーってそういう撮影周りとかできる人いなかったりするから外注で出しがちなんですけど、制作会社や代理店って大体そこをカモってくるので、広告ってだけで20倍くらいの価格出してきたりするんですよね。でも値段わからないから頼んでしまうメーカー。

そういう意味で内政化できちゃうと大幅コストカットだし、重宝されちゃうんですよね。

さらに仲良いモデルがいたりするからプロモーションも力になれるし雑誌広告の出稿とかも値切れるし、色んな編集部・出版社に知り合いが散らばるから融通が効きます。

あとは人とは思えない経験してきてるから、大抵のことで潰れないし。「今日徹夜だったわ〜」とかアピってる人がクソ雑魚に見えてきます。

むしろ土日祝日休めて、GWとか正月も休めて、しかも定時!?終わっていいの?!みたいな。仕事がイージーモードに突入します。

逆に仕事が出来すぎちゃって、何でみんなそんな仕事終わらないの?っていうジレンマに陥ります。これ筆者だけの話じゃなくて、編集から一度普通の企業に就職した人が大体言います。

あとはギャル誌の経験限定かもですが、ハプニングとかに強くなりますよね。

基本的に編集は「できない」で終われないので何事も。できないならどうしたらいいのか。を瞬時に考えて指示を出さないといけない。泣いて喚く暇があるなら、どうにかすることを考える。現実的ぃ〜。

そんなわけで

「できるできないじゃない。やるかやらないかだ。」

全てはこれに尽きる。

でも編集になりたいっていう人がいたら勧めないです。

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ABOUT US

PinkPanda
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nuts、小悪魔ageha、LARME、ラブベリーといった女性誌元編集者。現在はブランディングやプロモーションなどを行うディレクター業。そんな中時間を見つけてコツコツまとめます。
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