トレカ界隈に入り込むとオリパという言葉をよく聞くようになります。そんな「オリパ」というものについて色んな角度から考察してみます。
オリパ──トレーディングカード市場に巻き起こる「くじ引き」の魔法
2020年代に入って再び熱気を帯びつつあるトレーディングカード市場。その中でひときわ注目を集めるのが「オリパ(オリジナルパック)」と呼ばれる謎めいた存在だ。今回は、オリパがどのように生まれ、なぜ人々を惹きつけるのか、その経済効果や法的論点、オンライン版との違いまで、多角的に紐解いてみたい。
1.在庫を“ワクワク”に変える──オリパの誕生背景
かつてカードショップの倉庫に眠っていた在庫の山。傷や汚れが気になるもの、売れ残ったパックは二束三文で引き取られるか、最悪処分される運命だった。そこで生まれたのが、複数枚のカードをまとめてランダム封入し「何が出るか分からない」楽しさを付加したオリパだ。損傷や希少性の異なるカードを均一価格で提供することで、ショップは在庫を効率的にさばきつつ、顧客には“宝探し”の体験を売ることに成功した。
「公式が商品として作成し販売するパック」が開封され販売され、店舗に集まったところで
「店舗が独自に再パック化してくじとして販売するもの」がオリパ。
2.市場を活性化させる「経済効果」
オリパは売り手と買い手、双方にメリットをもたらす。
店舗側は、従来の“一点ずつ売る”モデルでは回収が難しかった在庫を一気に現金化できる。たとえば10,000円のパックを100口販売すれば、売上は100万円。封入率70%であれば70万円分のカードコストを消化し、残る30万円が利益になる計算だ。さらに、SNSで開封動画や当たり報告が拡散されることで新規顧客を呼び込み、リピーターを増やすという相乗効果も大きい。
一方ユーザーにも、単に市場価格より安くレアカードを入手できる“ドキドキ”感が魅力となる。実際の買取価格より割安な当たり枠が用意されるため、「出たカードをすぐに売れば元は取れる」という安心感があり、初回参入のハードルも低い。こうして中古市場全体の流動性が上がり、トレカ市場全体の活性化にもつながっている。
3.「射倖心」を駆り立てるメカニズム
心理学の世界では、ランダム報酬(インターミッテント・スケジュール)が最も強い“中毒性”を生むとされる。オリパにおけるくじ引きの構造はまさにこれを利用したものだ。特賞やA賞など高価なカードを少数口にし、C・D賞を多く設定することで、「次は自分に当たるかもしれない」という期待感を維持し続ける。
さらに「ラストワン賞」という仕組みも巧妙だ。100口の最後の一つにだけ用意された豪華景品は、全口が売り切れるまで購買意欲を下げさせない。ユーザーは「最後の一人になりたい」「ラストワン賞を逃したくない」という思いで、つい足を踏み留まれなくなるのだ。
残り口数が何口で、ラストワンがいくらくらいのものだから、ここで全部買ったら損することはない。ワンチャンプラスになるかも!?となるので最後まで購入するのだ。
4.楽しさの裏側──コミュニティと共感体験
オリパの楽しさは開封瞬間の高揚感だけでは終わらない。SNSにアップされる開封結果を見て、「自分も挑戦したい」と感じる連鎖が生まれる。ときには複数人で同じオリパを買い、結果を見せ合うことで一層の盛り上がりを見せる。こうしたコミュニティ形成こそが、オリパ文化の根底にあると言っても過言ではないだろう。
5.法的グレーゾーンと回避策
一方で、オリパは「現金化」を前提とした二次流通ビジネスであるがゆえに、パチンコの三店方式に似たグレーな側面を持つ。賭博罪の成立には「得喪を争う行為」という要件が必要だが、オリパ市場では“カード→買取”というプロセスがユーザーの手を離れる形で完結し、直接の“賭け”とみなしにくい。さらに中古カードの売買は古物営業法の範疇とされ、物品取引として正当化されやすい。
オリパは賭博か。が度々議論となる。答えは?
筆者はオリパは賭博だ。と考えている。
なぜなら得喪を争う行為だから。そしてどこまでいってもトレカは現金化しやすい。
*得喪を争うとは、得をする人と損をする人が存在すること
当事者が確実に予見できず(偶然の事情)、当事者の意思で自由に支払いできない事実について勝敗を決定すること。を賭博という。
そして、勝敗により財物の得喪を争うものであることです。
財物とは、現金だけでなく財産上の利益であれば該当します。例えば、不動産や動産、債権などでも。財物の得喪とは、賭け事で、勝者は財産を得る、また敗者は財産を失うことです。
パチンコの例
パチンコの闇も度々議論の的になるが、お金を玉に換金し、当たるか外れるかゲームをし、玉を景品と交換する。換金所の場所は明言してくれないが換金所に行けば現金化してくれる。
これがパチンコの三店方式で、非国営ギャンブルだし、過去にヤ⚪︎ザのしのぎとなっていたが、見過ごされる対象となった。
競馬、競艇、競輪、宝くじなんかは国営ギャンブルなので賭博罪にはなりません。
ではトレカは?
店舗でオリパを購入→購入して当たったとかハズれた→当たったカードを買取に出す→現金化
この当たったとかハズれたって買取に出した時の販売額でそう感じますよね。
店舗は買取を行なっているのがほとんどで店内に買取表が貼ってあったりする。
そう、ここで問題になるのが上記した財物の得喪を争うという部分。トレカは人によっては価値があり、人によってはゴミになる。定価がなく相場という概念で取引が行われる古物であること。
トレカは財物か。
これこそが最大の論点です。法的に曖昧になる部分。
でもね、店内に買取表が貼ってあって、このカード50,000円で買います!ってある横でオリパを引いてそのカードが出たら、誰しもが50,000円の価値がある。現金と同等で見ちゃう。財物になるよね。
だから
- オリパ販売するけど、オリパから出たものは買取しません。
- 販売専門店と買取専門店で分離させる。
みたいなパターンがよくあるんですね。
最近増加したオンラインガチャは?
オンラインサイトでソシャゲのガチャのようにオリパを購入できるサービス増えましたね。
オンラインカジノとかオンラインポーカーも海外サーバーで運営してどうこう。みたいなの増えてますしね。
老舗的なところで言うと、24GachaとかCloveやmagiやスニダンなのかな。
オンラインガチャも上述したパチンコ三店方式に近いのはもうお分かりですよね?
オンラインガチャ | パチンコ |
---|---|
現金でポイント購入 | 現金で玉を購入 |
ポイントで得喪を争う | 玉で得喪を争う |
当たった現物を獲得できる | 勝った分、景品と交換できる |
店舗で売れば現金化 | 交換所で現金化 |
違う部分といえば、現物獲得か景品獲得か。くらいですよね。
法的にどうかは置いといて、筆者はもうギャンブルじゃん。って思うわけです。
国が、社会が、法が介入しないのはなぜか
まず最初にトレカを財物と見なすか。の問題ですね。資産・財物として捉えられるかどうかで法律上での定義が変わっちゃいますよね。この曖昧さが法が介入しない部分。
次にメーカーが問題視したら事は動く。まぁでもメーカーは動きません。転売対策を講じたり、増刷したりはしますが、二次流通が活性化しなければ自分たちの商品が売れないこともわかってます。基本スタンスは見て見ぬふり。よっぽど社会問題とか大ごとにならない限りは。
そして悪質店舗被害者や負けてクレーム入れる人間が消費者庁に訴えるか。
このご時世だと悪質店舗は結構口コミとかSNS炎上で淘汰されていくからね。YouTuberの開封とか摘発みたいなのも多いし。
負けてクレームとか、当たったけど傷多いとか、そういったクレームって大体言いがかりで、かといってSNSで晒すぞ!みたいな脅しに屈して返金したりするのが多いんですよね。事勿れ。
このご時世だけど声を大にして言うと、トレカ界隈でオリパ引いてる人って民度高くないんで(偏見)自分が得をできなかった。を貫く。脅す。晒す。みたいな結構幼稚な闘い方するんで、消費者庁にクレーム入れるような人種ではないんですよね。警察行ったら自分も摘発される脱税者多いし。
と言うわけで、現状としては社会問題化しません!!
似たようなケースで社会問題化したのがソシャゲのガチャですよね。子供が勝手に親のクレカでとか、何千回回したけど目当てのものが出ない!とかが問題となって社会を動かした例。
だから注意喚起や封入率・排出率の表記が義務化されたよね。
じゃあ、どうしたら?
オリパ販売やオンラインガチャを運営する側は、
- 顧客からの信頼を得られる努力
- 法をちゃんと理解して法の中でできる意識。
- 社会問題化した時に生き残れるためのリスクヘッジ
大手はこういう部分ちゃんと考えてるから、ガチャと同額クーポン発行することで得喪を争わない形にしたりリスクヘッジしてってるよね。
では購入する側が気にしておくのは…
- オリパってどういうものか理解しておく。完品じゃないから傷とかある。そういうものだから。
- 封入計算できるならする。いい商品かどうか見抜ける目を持つこと。
- 当たり前だろってことは当たり前にわかっておく。
パチンコ屋が儲からなければパチンコなんてないし、トレカ屋が儲からなければオリパなんてない。
ギャンブルって大体そういうもの。
*色々言ってるけど筆者もオリパとかオンラインガチャやったことあるし、肯定も否定もしてない。冷静に分析してみてるだけ。許して。
6.オンラインガチャへの応用
実店舗オリパをオンライン化すると、さらに多彩な演出や効率化が可能になる。ユーザーはWebで決済後、倉庫内でパックを開封する「リアル抽選」と、結果に応じてポイントを付与する「ポイント抽選」の二つを選択できる。ポイント抽選であれば、ハズレ枠はポイント還元のみで完結し、実物配送コストを大幅に削減できる。高額賞だけ実物を送付し、低額・ハズレ枠はポイントで代替するハイブリッド方式が主流になりつつある。
7.これからのオリパに求められるもの
オリパは単なる“カードくじ”ではなく、在庫活性化のビジネスモデル、ゲーミフィケーションを取り入れた新たなエンタメの形だ。しかし、コミュニティの信頼を失わないためには、確率公開や第三者監査、法令遵守が不可欠。さらに、プラスチック製カードの環境負荷や過度な射倖心への懸念を踏まえ、再生紙パッケージの採用や余剰カードの寄付プログラムなど、CSR的な取り組みを打ち出すことで、持続可能な市場を目指していく必要がある。
まとめ
オリパは、トレーディングカードという物理的メディアに「くじ引きの興奮」を掛け合わせた、今や行動経済学やコミュニティ論とも深く結びつくビジネスだ。法規制のグレーゾーンをクリアにしながら、安全・安心に「ワクワク」を提供することが、これからのオリパ市場で勝ち抜く鍵となるだろう。